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今年読んだ本 3 詩 『歳月』

『歳月』著者 茨木のり子 花神社

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『歳月』は亡くなられた詩人茨木のり子さんの最愛の夫・三浦安信さんへの
思いを綴った遺稿集です。生前、これらの詩は発表されることはなく、2006年
茨木さんが亡くなられた後、甥ごさんが、家の片づけで、「Y」の箱を見つけられ、
伯父の安信さんのイニシャルであることから、すぐにわかったそうです。
生前茨木さんが発表しなかったのは、ラブレターのようで恥ずかしいと
言われたという。
25年間の茨木さんの結婚生活、夫をどれだけ深く愛していたか、夫の死後30年の
長きにわたり彼女を支えてきたのは、亡き夫であることが痛いように理解できる。

彼女の詩は大好きですが、いつも叱られているような気になります。
強い人なんだなぁ~と感じていました。
彼女の詩の通りなんだと、うなずいたものです。
茨木のり子さんの詩を知ったのは、かれこれ、25年以上も前
同僚が国語の教科書に載っているのを教えてくれたことが、きっかけでした。

詩集『見えない配達夫』に収められたあの有名な作品、
わたしが一番きれいだったとき
わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達が沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった(以後省略)

茨木さんは昭和に生まれ、昭和を生き抜いて逝かれました。
不幸な戦争を体験され「わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった」
には、反戦の万感の思いと受け止めました。

自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

よりかからず
もはや できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

大好きな有名な詩です。この意志の強い彼女をいつも支えてくれたのが夫であり、
彼女の夫亡き後の30年は、25年の充実した結婚生活があったから、貫き通せたのかな
詩集『歳月』のなかから、一番好きな詩を

歳月
真実を見きわめるのに
二十五年という歳月は短かったでしょうか
九十歳のあなたを想定してみる
八十歳のわたしを想定してみる
どちらかがぼけて
どちらかが疲れはて
あるいは二人ともそうなって
わけもわからず憎みあっている姿が
ちらっとよぎる
あるいはまた
ふんわりとした翁と媼になって
もう行きましょう と
互いに首を絞めようとして
その力さえなく尻餅なんかついている姿
けれど
歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの

手元に置きたい一冊
by gonta2kohana1-nak | 2010-12-14 19:54 |

いつのまにやら、黄昏時にさしかかた さとおばさん(さとばあちゃんかも?)、いつもエネルギーをもらうワンコたちとの日常


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