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へクソカズラ雑感

この季節、荒地や原野などにビッシリとつる性の可愛い
ラッパのような小花をみかける。
花の名前は屁糞葛(へクソカズラ) なんとも気の毒な名前。
花はこんなに可愛いのに。オオイヌノフグリと並んで気の毒
な命名といつも思う。あまり、花に関心がなかった頃、庭に
どこからともなく種がこぼれたのかはびこって、フェンスや
庭木に絡みつき可愛い花を咲かせていた。

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始は、可愛いのでそのままにしていたら、どんどん他の
花木やフェンス全体に絡み付いて始末に終えない。
つる性の、強い草花である。しかも、葉や茎を切ると
なんともいえない嫌な臭い。
それでも、屁糞とはあまりにひどい。大昔からこの名称が
あるようで、命名した人はよっぽどどこへでも絡み、原野を
歩くのに往生したのか、この臭いに閉口したのか、癪に障っ
たのか、悔しさ紛れとはいえ“屁糞”とはとひどい名前をつけ
たものである。
そのうえ、へクソカズラの英語名はskunk vine あの悪臭で
名高いスカンク(skunk)の名が入っている。本当に散々です。
夏枯れの花のない時期、ちょっと可愛いのに。

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以前読んだ本の中に、ベトナム戦争後、枯葉剤ですっかり荒廃
した炎熱化の草原にさえヘクソカズラの可憐な花が咲いていた
と書かれていた。
南方にも故郷をもち、日本でもいたるところ、したたかな生活圏
を持つこの花に興味がわいた。
葉や茎を切ったときの臭いは何だろうか?
調べてみると、どうもメチルメルカプタンが関係しているようで
ある。メチルメルカプタンは ーSH基(硫黄を含む)がある。
臭いはず。
葉や茎が傷をつけられると、へクソカズラの体内にある
成分が酵素によって分解され、揮発性の重いメチルメル
カプタンに変化し、悪臭を放つ。
野菜の腐った臭いなどでもおなじみの悪臭。
ただ、季節によって臭いにも差があるようですが 虫の害
から身を守る手段と考えられているそうである。
自己防衛本能、スカンクに通じるところもある。

葉ぱには虫食い痕も見られるが、虫の中にはそういう
成分を含む植物をあえて食べることで、体内にその成分を
取り込んで、自己防衛することもあるのだそうです。
自然界の生物の生きるための防衛本能の不思議なほどの
深さも感じる。
花の内側が赤く、倒立した形が“灸(やとい)”に似ているので
別名ヤトイバナとも呼ばれているようですが、“ヤイト”という
言葉もほとんど使われなくてもう死語にちかいのかな。
他に、早乙女花という名もあるが、へクソカズラとはあまりに
対照的で、あまり使われていないようである。

へクソカズラは万葉集の時代から、歌に詠まれているほど。
古い草花というか雑草。
俳句の夏の季語としても使われるようである。
秋になると可愛い実をつけるが、これが薬草としても
利用されている。実をつぶして「ひび割れ」や「凍傷」に
使われたそうであるが、そういえばひび割れも冷たい水
で、仕事をしなくなくなり、よい薬もたくさんあるし・・・

実にはあの臭いはないようです。
臭い葉のもみ汁は「毒虫さされ」などにも使われるようだが・・・・
今はどうなんだろうか。

へクソカズラを詠んだ句はたくさんある。
気に入っているものを一句

  哀れさは へくそかずらの おちょぼ紅・・・京極杜藻
by gonta2kohana1-nak | 2008-08-05 21:35 | 以前の記事

いつのまにやら、黄昏時にさしかかた さとおばさん(さとばあちゃんかも?)、いつもエネルギーをもらうワンコたちとの日常


by gonta2kohana1-nak